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弁護士法人 ALAW&GOODLOOP | 福岡・北九州および長崎の企業法務、法律顧問契約、法律相談

コラム

就業規則の最低基準効について

関五行

投稿日

2017.05.26

投稿者

関 五行

カテゴリー

弁護士の関です。今回は就業規則に関して少しだけお話しいたします。
労働基準法89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に対し、いわゆる絶対的必要記載事項を盛り込んだ就業規則の作成・周知義務を課しています。それでは、そもそも法が上記作成等義務を課した趣旨は何でしょうか。
それは、労働条件等を明確化し使用者による恣意的な運用を防ぐことにあります(水町勇一郎「労働法 第5版」)。すなわち、使用者は作成した就業規則に原則として拘束されるのです。
さらに、上記より導かれる法的効果として「就業規則の最低基準効」があります。就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、当該無効部分には、就業規則で定める基準が適用されることになります(労働契約法12条本文)。
さらに、上記効果と就業規則の契約内容規律効(労働契約法7条本文-労働契約の内容は就業規則で定める労働条件による ※勿論、規則自体の周知要件や合理性要件を満たす必要があります)を組み合わせた結果、労働者にとって、労使の合意が、就業規則よりも有利な場合は当該合意が有効となる一方、不利な場合は最低基準効違反として無効となります。
時折、パート従業員用の就業規則の作成を懈怠したまま、同従業員にはすでに存在している(おそらく正社員の方用の)就業規則以下の労働条件を採用している会社がみられます。このような会社の経営者の方は、(正社員用の)就業規則を作成されただけで満足されている場合が多いようです。しかしながら、これまで述べてきたことの当然の帰結として、当該ケースでは、正社員用の就業規則がパート従業員にも適用され、賃金、各種休暇等につき正社員と同等の権利が保障されることとなります。
なお、就業規則の最低基準効も契約内容規律効も強行法規であることは言うまでもありません(通説)。
十分な合理性を有した就業規則を作成すべきことは当然です。しかしながら、就業規則は一度作成すればそれで終わりではありません。他方、労働者の方であれば、自らに適用される就業規則の内容を十分に把握しておくべきです。
就業規則に関するお悩み等がある場合には、是非ともお近くの専門家(弁護士、社会保険労務士)にご相談されることをお薦めいたします。