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弁護士法人 ALAW&GOODLOOP | 福岡・北九州・長崎の企業法務、法律顧問契約、法律相談

コラム

労働者のマッチングに関する規制

投稿日

2019.05.17

投稿者

日髙 太一

カテゴリー

その他の民事・家事事件

人事・労務関連

行政事件

今回は、職業紹介に関する規制についてご紹介致します。

1 職業紹介
職業紹介とは、職業紹介事業者が求人者と求職者の仲立ちをして、雇用関係の成立をあっせんすることをいいます(職業安定法第4条1項)。ここで、求人とは、対価を支払って自己のために他人の労働力の提供を求めること、求職とは、対価を得るために自己の労働力を提供して職業に就こうとすることを指します。また、あっせんとは、求人者と求職者との間における雇用関係成立のための便宜を図り、その成立を容易にさせる行為一般を指称するものと解され(※1) 、求人者に紹介するために求職者を探索し、求人者に就職するよう求職者に勧奨するいわゆるスカウト行為も含まれるとされます(※2)。このように、あっせんの概念は、比較的広く解釈されています。
職業安定法が、労働者のマッチングに関して規制を設けているのは、低劣な労働条件の締結や中間搾取の発生といった弊害を防止することにあります。
紹介事業のうち、有料職業紹介事業は、同法30条による厚生労働大臣の許可を、無料職業紹介事業は、法33条による厚生労働大臣の許可を受けて行うことができます。

2 募集情報等提供
次に、労働者の募集に関する規制をご紹介致します。
求人・求職情報の提供に関して、労働者の募集を行う者の依頼を受けて、募集に関する情報を労働者となろうとする者に提供すること又は労働者となろうとする者の依頼を受けて、当該労働者に関する情報を労働者の募集を行う者に提供することは、募集情報等提供(同法4条6項)として、別途規制がなされています。
ただし、次のいずれかに該当するような行為を事業として行う場合には、職業紹介事業の許可等が必要となります(※3) 。
イ  提供される求職者に関する情報もしくは求人に関する情報の内容または提供相手について、あらかじめ明示的に設定された客観的な条件に基づくとことなく当該者の判断により選別または加工を行うこと。
ロ  当該者から、求職者に対する求人に関する情報に係る連絡または求職者に関する情報に係る連絡を行うこと。
ハ  求職者と求人者との間の意思疎通を当該者を介して中継する場合に、当該意思疎通の内容に加工を行うこと。

このように、労働者のマッチングや求人・求職に関しては、様々な規制が設けられており、その際には指針等も考慮する必要があります。新規事業等で、労働者のマッチングに関する事業を検討する場合には、弁護士へ相談することをお勧めします。

※1 最判昭和28年10月4日
※2 最判平成6年4月22日
※3 職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等 提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等が 均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業 者の責務、募集内容の的確な表示、労働者の募集を行う者等の責務、労働者 供給事業者の責務等に関して適切に対処するための指針 第五の五(二)