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コラム

「自筆証書遺言の方式に関する改正」について(相続法改正)

後藤大輔

投稿日

2018.11.16

投稿者

後藤 大輔

カテゴリー

遺言書作成・相続・財産管理

 本年7月に相続法の改正法案が国会で可決成立したことについては、皆さんも新聞報道等でご存知のことと存じます。この改正法は、早いもので来年1月13日、多くのものは公布日である7月13日から1年以内(2019年7月13日)、残りのものは公布から2年以内(2020年7月13日)の施行が予定されています。
今回は、その「早いもの」に該当する「自筆証書遺言の方式に関する改正」について、解説を加えます。
昨今は、遺言書作成”ブーム”ともいうべき流れがあり、一念発起して遺言を書いてみようと考えておられる方々が増えているようにも思われます。実際に、書店に行くと、「遺言書作成キット」なるものが販売されているのを目にしたこともあります。遺言書を作成しておくことそれ自体については、相続開始後の争いを防止するという意味から、望ましいことと考えている次第です。
もっとも、元来多趣味で物持ちが良い方もいらっしゃいますし、色々な財産をお持ちの方の場合、遺言書の作成前にまずは持ち物を確認しようといった段階で、目録だけでかなりのヴォリュームになってしまったという声を聴いたことがあります。このような悩みは、実際に遺言を作ってみて初めて気が付くということということもできます。
現在の法律では、自筆証書で遺言を残す場合、「全文、日付及び氏名」を自分の字で書き、印鑑を押さないといけないというルールがあります。「全文」、つまり全ての文章を自分の字で書くわけですから、やはり目録も自分の字で書く必要があります。
「自筆証書遺言の方式に関する改正」というのは、この点に関するものであり、前述した「全文、日付及び氏名」を自署するというルールはそのままですが、そうした自筆証書遺言と一体のものとして、相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合、その目録部分は自分の字で書かなくてもいい、というルールが追加されることになります。
ご自身のパソコンで目録を作成してもいいし、パソコンが苦手な方も、第三者に目録を作ってもらい、それを自筆証書遺言に添付する方法で済ませることができます。不動産などについては、公的な書類(不動産登記事項証明書)をそのまま添付するということでも構いません。
ただし、自分の文字で書いていない目録部分については、そのページごとに自分で署名し、印鑑を押すこと、というルールが追加されています。一枚ごとに署名というのは多少手間ですが、目録全部を手書きするよりは、随分と楽ではないかと考える次第です。
前述のとおり、「自筆証書遺言の方式に関する改正」は、2019年1月13日から、施行されます。来年の1月13日以降なら、自筆証書遺言の目録をパソコンで作る方法も考えられるということです。いまはまだ…と思われていても、将来的に遺言を作ろうかという人には便利な制度設計になったのではないでしょうか。
その他、今回の相続法改正では、一定の条件のもとで遺言書を法務局に預けられるようになるとか、亡くなられた方の配偶者にあたる方に、それまで住んでいた自宅に居住できる権利を認めたりと、様々な点が変更されています。これらの改正が、遅くとも2020年7月13日までに順々に施行される、ということです。これらの改正点は、今後の遺言書作成や相続対策についても大きく影響することですので、改正の内容をよく把握している弁護士に相談することをお勧めします。
(了)