1.昨今の人手不足を背景に、少しでも求人の方法を探したいという会社や自営業の方が増えています。
これを狙って、当初はお試しで無料求人広告を出し、解約の連絡をしなければ自動的に有料の契約に移行する、という勧誘が増えており、社会問題となっています。
多くは電話で勧誘し、契約はFAXを利用して行われます。
2.有料になる前に解約すれば、短期間とはいえ無料で求人ができるということで気軽に応募する方も多いのですが、解約用紙をギリギリで提供して解約できるタイミングを最小にするということも多く、たまたま解約書面を見逃して1日でも解約期限を徒過してしまえば、(業者側の理屈を前提とするなら)契約が有料になって数十万円を請求される、というものです。
この解約ミスを狙っていると思われる業者が多く、トラブルが多発しています。FAXが普通になって解約の連絡を受け付けられない状態にしてしまうとか、電話などが解約期間だけ繋がらないといった対応も伝え聞くところです。
厚生労働省も、求人広告掲載時のトラブルに関する注意喚起を行っています(求人広告掲載時のトラブルにご注意ください)。
3.私もそのような相談をお受けするのですが、そのサイトを見て応募が来たという話を聞いたことがありません。実際にサイトを見てみると、やっつけ仕事で作られたようなウェブサイトに簡易な情報が載っているだけということもありましたし、場合によっては情報が載っていることすら確認できないサイトもありました。
このように悪質な業者に悪質な対応をされても、事業として契約をしていると、消費者契約法という消費者を強力に守る法律は使えず、民法で何とか対抗するほかないというのが現状です。
4.君子危うきに近寄らず。契約しないのが一番の対抗策なのですが、仮に契約して解約期限を徒過してしまったとしても、支払いについては、争う論拠がいくつもあります。
一番良くないのは、期限を徒過してしまった自分が悪いと諦めて支払ってしまうことです。最近は、一度の請求額を20万前後に落として、弁護士に依頼する費用よりも支払ってしまった方が安いという状況を作り出そうとしている可能性があるものもありますが、多くは法律相談で対抗策を見出すことができるはずです。
また、中小企業や個人事業主が無料で相談する仕組みであるひまわりほっとダイヤルというものも用意されていますので、こちらを利用されても良いでしょう。
5.中小企業や個人事業主は、残念ながら一般人よりも法による保護が厚いとはいえません。求人サイトの問題については、請求を受けても、相談をすれば対応できる可能性は高いといえます。
ですが、一番良いのは、問題が起きる前に対処してしまうことです。予防的に相談ができるよう、顧問契約を締結されるとか、日頃から相談に行ける弁護士を作っておき、契約締結前に相談できる状況を作っておくと良いと思います。
当法人は、顧問契約も受け付けておりますので、興味を持っていただけましたら、いつでもご相談ください。