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コラム

クレプトマニア⑫

関五行

投稿日

2022.01.28

投稿者

関 五行

カテゴリー

刑事

関五行

弁護士の関です。

私はこれまでのクレプトマニア(窃盗症や窃盗依存症ともいいます。以下では、「クレプトマニア」に統一します。)に関連するコラムにおいて、本人がクレプトマニアに罹患している可能性を認めることこそがこの問題に取組む出発点にして最も難しいハードルと繰り返し述べてきました。

今回はそのことについて少し詳しく説明したいと思います。

 

クレプトマニアという言葉がこれだけ社会的に認知されてきた昨今、万引等を繰り返している方が、ご自身がクレプトマニアに該当する可能性を一度も疑ったことすらない場合はほとんどありません。多くの場合、ご自身なりにクレプトマニアについて何らかの調査を行った上で、それでも自分は違うと判断して(安心して)いることがほとんどです(逆にご家族はかなり早い段階でクレプトマニアだと判断してご相談に来られる傾向があります)。

そして、ご本人が自身のクレプトマニア罹患を否定する理由の大部分は、「自分の場合、やめようと思えばやめられるから」というものです(念のためですが、弁護士である私が関わっている時点で、すでに万引行為を繰返し検察から起訴され刑事裁判に至っていることがほとんどです)。

さらに、私から「どうやってやめるのですか?これまでやめられなかった理由は何ですか?」と質問しても、「これまではやめようと考えていなかった。これからは強い気持ちを持つので大丈夫です」等と返答があります。

言うまでもなく、クレプトマニアは疾患であり、依存症的性格を多分に持ちます。例えば、アルコール依存や薬物依存の方が上記のように言われたら、皆さんは何と思うでしょうか。精神疾患を抱えた方が「自分の気の持ちようで何とでもなる。大丈夫」などと答えたら逆に心配にならないでしょうか。

結論から言えば、そんなことでやめられるのなら苦労はないのです。重要なことはあなたの気持ちや考え、価値観などではなく、これまで万引行為を繰り返してきたという事実そのものなのです。勿論、最終的な診断は専門的医師の診察を待つべきですが、多くの場合、そのような方は「誰がどう見たって」クレプトマニアに罹患している可能性が否定できないのです。

しかしそれでも、ご本人が正面からその可能性を認められなければ、診察を受けることもできませんし、治療を開始することもできません。状態は悪くなることはあっても、良くなることはほとんどないでしょう。そして、その認識を変えるとの点について言えば、家族や弁護士ができることは残念ながらあまりないのが現実です。逆に言えば、ご本人が少しでもその可能性を疑っている場合こそチャンスです。その時を逃さず専門機関等に本人を連れて相談に行くことが何よりも重要であると、改めて強調いたします。

以上