第1 はじめに
ここ数年、中小企業が被害者となる求人広告トラブルが多発しています。求人広告トラブルとは、求人広告サイトを運営する会社から無料で求人広告を掲載できると連絡があり、これを信じた中小企業などが求人広告を掲載してもらったところ、知らない間に無料期間が終了し、広告掲載料を請求されるというものです。
第2 法的な問題点
求人広告トラブル対応の難しいところは、相談者が事業者のため、消費者を保護する目的で制定されている消費者契約法や特定商取引法が適用されないという点にあります。そのため、広告掲載料の支払義務がないというためには、詐欺などの民法上の主張をしなければなりません。
第3 対応策
1 契約締結前
担当者が「広告掲載料は無料です」と説明した場合であっても、契約書をよく読むと、期限までに解約しない場合は自動的に有料の掲載に移行する旨の記載がなされている場合もあります。このような契約書に署名等をすると、有力な証拠となってしまいますので、後々知らなかったという主張をすることが非常に難しくなります。そのため、契約をする際には、契約書の内容を十分に確認する必要があります。
2 契約締結後に広告掲載料を請求された場合
一度、広告掲載料を支払ってしまうとそれを後々取り返すということは非常に難しくなります。そのため、求人広告トラブルに巻き込まれた場合には、安易に支払をすべきではありません。広告掲載料の支払に合意していないのであれば、広告掲載料を支払わない旨を明示し、掲載されている広告の削除も求めるべきです。証拠として残しておくために、このような連絡は、配達証明付内容証明郵便などで発送しておくことをおすすめします。
3 裁判所から連絡が来た場合
広告掲載料の支払を拒絶していた場合、求人広告会社から広告掲載料の支払いを求めて訴訟を提起されることもありまます。裁判所から来た郵便等を放置して裁判所にも出頭しない場合、争う意思がないとみなされて、求人広告会社の主張がすべて認められる判決がなされることとなります。判決が確定すると、それ以降争うことはできず、場合によっては差押えなどのリスクもあります。万が一、裁判所から連絡が来た場合には、早急に弁護士に相談するなどの対応を取る必要があります。
以上