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コラム

調停や裁判を行う裁判所が遠い場合の対応について

黒岩 英一

投稿日

2017.12.22

投稿者

黒岩 英一

カテゴリー

その他の民事・家事事件

その他企業法務全般

交通事故

債務整理・過払い金返還請求

離婚・夫婦や子どもに関する問題

1 法律相談などにおいては、当然、自分が相手に請求できるのか、あるいは請求されているものを支払わなければならないのか、といった法的な権利の有無についてのご相談が多いのですが、実務家が実際に法的手続を行うときに気にするのが、どこの裁判所で手続を行うのか、です。

今回は、裁判所の管轄について書いていきたいと思います。

 

2 訴訟

(1)「訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する」とされており(民事訴訟法第4条第1項)、原則としては被告の住所地となります。

しかしながら、実際の民事訴訟においては、原告の住所地を管轄する裁判所において提訴されることが多々あります。

これは、民事訴訟法第5条において、例外が多数定められてていることによります(2つ以上の管轄が認められる場合、どちらに提訴しても構わないのです。)。例えば財産上の訴えは「義務履行地」に管轄が認められるため、例えば貸した金を支払えという裁判の場合、貸金の返済は原則として貸主に持参して支払うことになるため、「義務履行地」は貸した側の住所地ということで、原告の住所を管轄する裁判所において管轄が認められます。

 

(2)遠隔地での裁判手続への参加

ア では、遠隔地に提訴された場合や遠隔地に提訴せざるを得ないような場合、どうすればいいのでしょうか。移送申立という手続があり、裁判所を変えるよう求めることはできますが、認められる可能性は高くありません。

とはいえ、毎回遠隔地の裁判所に出席するのは当事者にとって相当な負担となりますし、弁護士に出頭してもらう場合、出張費も馬鹿になりません。このような問題については、「擬制陳述」(ぎせいちんじゅつ)と電話会議という方法が用意されています。

このうち擬制陳述は、書面だけを提出して陳述(出席して書面の内容を話)したことにしてもらう制度です(民事訴訟法158条)。原則として第1回期日でしか使えない制度ですが、簡易裁判所においては例外的に2回目以降も擬制陳述ができることとされています(民事訴訟法277条)。

 

イ 電話会議は、遠隔地の裁判所と当事者とを電話でつないで、話をする制度となります。弁護士だと法律事務所につないでもらいますが、一般の方の場合、近くの裁判所に出頭していただき、そこから裁判所の電話をつないで、裁判に参加します。一般的には弁論準備手続という手続で使われる制度です。

ただ、電話会議は、尋問手続では原則として利用できません。このため、法定で証人尋問を行うような場合には、出廷する必要が出てきます。この点の問題を解消する手続として準備されているのが、テレビ会議システムによる証人尋問です。この手続は、証人に証人の居住地近くの裁判所に出頭していただき、やはり裁判所間をテレビ会議システムでつないで、テレビ越しに尋問を行うという手続があります。

 

ウ これらの制度を駆使することで、遠隔地の裁判所への出頭回数をできるだけ減らすことができ、当法人でも、できる限り依頼者の負担を軽減するよう努力しています(出頭した方が手続き上適切な場合があり、必ず出頭しない方が良いというものではありませんが・・・)。

 

エ なお、これらの手続は、当然に利用できるものではありません。上申書などを裁判所に提出するなどして、認めてもらう必要があります。

 

3 調停

(1)調停手続は訴訟と異なり、原則として相手方の住所地を管轄する裁判所に対して申立てを行う必要があります。

このため、特に離婚調停などで配偶者が遠隔地に居住している場合、申立てを行う側は相当な負担となります。

 

(2)では、こういう場合どうすれば良いのでしょうか。

結論から言うと、訴訟と同じ電話会議システムが利用できます(家事事件手続法第54条、第258条第1項)。

ただし、離婚や離縁の調停を成立させる場合、本人の意思を慎重に確認する必要があることから、電話会議やテレビ会議の方法ではできないこととなっています。といっても、何度も調停に参加する労力を考えると、かなり負担は軽減されます。

実は、この手続は、平成25年1月1日から施行された家事事件手続法により認められた制度であり、それまでは認められていませんでした。

このため、それまでは必ず当事者または代理人が調停に出席して参加しており、遠隔地ですとかなりの負担がありました。法の施行直後は知らない弁護士もいて、無駄に出頭していると感じることもありました。

 

4 まとめ

以上、おおまかに遠隔地における裁判への出頭についてお話ししてきました。

一般の方には、裁判や調停というだけでも縁遠いと思いますが、具体的な手続においては、裁判や調停を「どこで行うか」といったことも、重要になってきます。

当法人では、お客様にとって一番の裁判や調停への出席について考えながら対応しております。紛争の相手方が遠隔地だからといって遠隔地の弁護士に相談する必要はありません。当法人へご相談いただければ、適切な対処方法を検討させていただきます。

以上