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コラム

配偶者等からのDVを防止するため法律が改正されました(2024年4月施行)

投稿日

2023.06.23

投稿者

井上 瞳

カテゴリー

離婚・夫婦や子どもに関する問題

こんにちは。

弁護士の井上瞳(いのうえひとみ)です。

私は,離婚・男女問題を多く取り扱っており,DV被害者の法的支援にも力を入れて取り組んでいます。

この度,「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(ニュースでは「DV防止法」と報道されることもあります。)の一部の規定が改正され,2024年4月から施行されます。

今回は,この「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(以下「法」といいます。)の改正のうち,特に「保護命令」の改正に関する主なポイントについて解説します。

 

1 保護命令とは

保護命令とは,配偶者や生活の本拠を共にする交際相手からの暴力を防止するために,裁判所が,加害者に対し,被害者への電話,被害者・被害者の子・被害者の親族への接近を禁止したり,被害者と同居している住居から退去することを命令するものです。

 

2 保護命令を申し立てることができる人

これまで,配偶者や生活の本拠を共にする交際相手から「生命または身体」に対する暴力を受けた人や,加害の告知を受けた人が,保護命令の申立てができるとされていました。

今回の法改正で,「生命または身体」だけでなく,「自由,名誉又は財産」に対する加害の告知を受けた人も,保護命令の申立てを行うことができるようになり,申立権を有する人の範囲が広がりました。

「自由」に対する加害の告知の例としては,「あなたをここから出られなくしてやる」といった発言などが考えられます。

また,「名誉」に対する加害の告知の例としては,「あなたの悪い行いをSNSで拡散してやる」といった発言などが考えられます。

さらに,「財産」に対する加害の告知の例としては,「あなたの家に火をつける。」といった発言などが考えられます。

 

3 保護命令を申し立てるための要件

これまでは,

①配偶者や生活の本拠を共にする交際相手から「身体」に対する暴力を受けたこと又は「生命または身体」に対する加害の告知による脅迫を受けたこと

②更なる身体に対する暴力により身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき

という要件を満たした場合に,保護命令の申立てが可能でした。

今回の改正で,①②の場合に加えて,

①′配偶者や生活の本拠を共にする交際相手から「自由,名誉又は財産」に対する加害の告知による脅迫を受けたこと

②′更なる生命・身体・自由等に対する脅迫により心身に重大な危害を受けるおそれが大きいとき

という要件を満たした場合にも,保護命令の申立てが可能となり,保護命令を申し立てることができる要件が緩和されました。

 

4 保護命令に違反した場合

これまでは,加害者が保護命令に違反した場合の罰則は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」でしたが,今回の改正で,罰則が「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」となり,保護命令違反の厳罰化がなされました。

 

5 その他

今回の改正では,加害者が被害者へ接近することを禁止する命令の期間が6か月間から1年間に伸長されたり,被者者と同居する未成年のお子様に対する電話,メール・SNSの送信等の禁止が可能になるなど,被害者や被害者本人以外の方の保護の範囲が広がりました。

 

6 DVの被害に遭った場合は弁護士に相談を!

被害者ご本人が,加害者と直接連絡をとったり,会ったりすることで,被害者やお子様が危険な目に遭ってしまう可能性があります。

被害拡大を防止するためにも,DVの被害に遭った場合は,できるだけ早めに弁護士にご相談いただくことをおすすめします。