本稿では、ゲームと著作権の関係、特にゲーム実況動画・eスポーツでのゲーム使用についてお話をさせていただきます。
1 ゲームの著作権
ゲーム製作者も、ゲームに対する著作権を持っています。
そのため、原則として、ゲーム製作者に無断でゲームのプレイ動画を配信したり、上映したりすることはできません。
2 動画配信とゲームの著作権
ただし、ゲームに関する動画の配信は、ゲーム製作者にとって不利益なことばかりではありません。ゲームのプレイ動画を配信されることで、ゲームの宣伝にもなるからです。広告費用をかけずに、YouTuberがゲームをプレイして多くの人に、ゲームを広めてくれるのであれば、悪い話ではないのです。そのため、ゲーム製作者がゲームの利用を許諾することが考えられます。
もっとも、ゲーム実況をしたい動画配信者の問い合わせに逐一対応し、個別に許諾するとなると、かなりの労力がかかります。
そこで、各ゲーム制作会社は動画配信に関するガイドラインを作成しており、ガイドラインに従った方法であれば、個別の許諾なくゲームのプレイ動画の配信を可能としています。
【株式会社カプコン】
https://www.capcom-games.com/ja-jp/video-policy/
【任天堂株式会社】
https://www.nintendo.co.jp/networkservice_guideline/ja/index.html
以上はガイドラインを出しているゲーム制作会社の一例です。ご覧のとおり、各利用条件さえ守れば、YouTube等でゲームのプレイ動画を配信することが可能です。
このようなガイドラインがあるため、YouTuberたちは、ゲーム製作者に個別に許可を得ることなく、YouTubeでゲーム実況動画を配信できるのです。
3 eスポーツでのゲーム使用
それでは、eスポーツにてゲームのプレイ動画を上映・配信するケースはどうでしょうか。
上記ガイドラインを見ると、ガイドラインは、非営利を目的とした利用を想定しています。ēスポーツでは、出演者への報酬支払・宣伝や集客での間接的な収益といった営利目的を伴うケースであることがほとんどなため、営利目的として利用を禁止されるでしょう。
eスポーツ大会にてゲームを利用する場合は、個別に制作会社に許可を得ることをおすすめいたします。
4 まとめ
上記ガイドラインの公表により、ゲームのプレイ動画を配信することが容易になりました。それと同時に、著作権に対する感覚も曖昧となっていき、上記ガイドラインに違反する動画配信も多くなっています。これはゲームに限らず、インターネットの普及により、作品に触れることが多くなった反面、著作権法違反となっている作品も多く目にするようになったことから、「みんなもやっているし」という感覚で安易に作品を利用してしまうケースが多くなったように感じます。
作品の利用には、必ず著作権が問題となります。ゲームだけでなく、何かしらの作品を利用する場合は、弁護士に相談して慎重に進めることが重要です。
参考文献
・株式会社カプコン「カプコン動画ガイドライン(個人)」
https://www.capcom-games.com/ja-jp/video-policy/
・任天堂株式会社「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」
https://www.nintendo.co.jp/networkservice_guideline/ja/index.html
・前田健ほか編著「図録 知的財産法」49頁以下