この度、令和元年6月5日に公布された労働施策総合推進法の改正により、パワーハラスメントが定義つけられ、併せて、パワーハラスメント対策が法制化されました。
同法では、パワーハラスメントを、①優越的な関係を背景とした、②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、③就業環境を害するもの、という3つの要素を満たすものとしています。
その上で、事業主に対して、④相談体制の整備等の雇用管理上の措置義務、⑤措置の適切・有効な実施を図るための指針の整備、⑥労働者が事業者にパワハラの相談等をしたことを理由とする事業者の不利益取扱いの禁止の義務が課されます。このうち、④及び⑤については、今後、労働政策審議会で議論され、指針として詳細が示される予定です。
このパワーハラスメント対策の施行時期については、公布後1年以内の政令で定める日とされています。早ければ、大企業については令和2年6月1日から、中小企業では令和4年4月1日から施行されます。
中小企業については、一定期間は努力義務となりますが、指針の内容を把握したうえで、施行までの間にパワーハラスメント対策を準備する必要があります。
平成28年度の職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書によれば、パワーハラスメント対策が重要であると考えている企業は、パワーハラスメントが会社へもたらす損失として、職場の雰囲気が悪くなる(94.5%)、従業員の心の健康を害する(92.9%)、従業員が十分に能力を発揮できなくなる(83.7%)、人材が流出してしまう(81.1%)ということを挙げています。
パワーハラスメントは、それを許してしまう企業風土の問題であるといえます。パワーハラスメントを無くすためには、パワーハラスメントを許さない、見逃さないという企業文化を作り上げる必要があります。