今回も,リスクマネジメントについてお話ししたいと思います。
まず,リスクは,純粋リスクと投機的リスクに大別されます。純粋リスクとは,事故や災害などを防ぐことに関するものを指します。一方で,投機的リスクとは,ビジネスチャンスに伴う不確実性を指します。リスクというと,前者のイメージを持たれる方が多いかと思いますが,企業活動にとっては,後者が重要です。中小業白書(2016年)においては,稼ぐ力を支えるリスクマネジメントとしてリスクについて分析しています。そこでは,リスクをとって利益を追求することが企業の成長にとって必要であるとし,リスクを積極的に捉えています。
ここで,リスクマネジメントと同様に用いられる危機管理について触れたいと思います。
リスクマネジメントと危機管理の関係については,事前のリスクマネジメントと事後の危機管理というように整理できます。そもそも,リスクマネジメントは,保険管理や安全管理を出発点とするものです。そこでは,リスクとは事故発生の可能性と理解されています。
一方で,危機管理は何らかの事象が発生した後に,どのように対処するかという問題となります。
両者を整理すると以下のようになります。
リスクマネジメント
・リスクの洗い出し(リスクの調査,確認,特定)
・リスクの評価・分析
・リスクへの対応(災害対策,保険加入,安全管理計画,事業継続計画)
・平時からリスクを意識した訓練
・リスク対応への共通理解と仕組み作り
危機管理
・リーダーシップ,決断,コミュニケーション
・トップの明確なメッセージ
・復元力(レジリエンス)
・失敗に学ぶ
具体的なリスクマネジメントの方法としては,JIS Q 31000等が参考になりますので,自社のリスクマネジメントへの取り組みの際には,ご参照下さい。