不動産売買においても、「表明保証条項」を入れる場合が見られるようになりました。表明保証条項は、例えば、「買主は、以下の記載の各事項が、本売買契約日において真実かつ正確であることを表明し、保証する。⑴本物件につき、建築基準法、消防法等いかなる法令の違反もなく、また、適用される条例に違反するものでもないこと。・・・」というような契約の条項を言います。買主は、売主に対し、詳細かつストレートな表明保証を要求する傾向にありますが、売主は、できる限り、表明保証をする事項を限定し、また、売主が責任を問われる場合を限定した表明保証条項としたいと考える傾向にあります。表明保証条項に違反した場合の効果(契約の解除まで認めるのか、損害賠償のみ認めるのか等)についても契約書にて明記しておくことになります。不動産売買においても、売主の瑕疵担保責任が法定されていますが、瑕疵担保責任は、不動産につき購入後に買主が発見した問題点が「瑕疵」に該当するか否かにつき、売主と買主との間で紛争が紛糾する場合が多いように思われます。特に高額の取引においては、買主側としては、表明保証条項を設け、できる限り売主の責任の所在を明確にしておくメリットは大きいと思います。ただ、買主側としても、売主の責任を大きくすることばかりを要求していては、売主において当該買主に不動産を売却することに消極的にならざるを得ません。表明保証条項の範囲を必要性の高いものに限定したり、表明保証条項に違反した場合の効果を限定したり、売主の表明保証条項違反を追及できる期間を限定するなど、売主側への配慮も必要と考えます。
弁護士 植木 博路