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コラム

仮想通貨取引における留意点(2)- 仮想通貨取引所(仮想通貨交換業者)の利用について

吉井和明

投稿日

2017.12.09

投稿者

吉井 和明

カテゴリー

前回に引き続き、仮想通貨を取引するにあたり、気を付けていただきたいことについて、お話します。
今回は、仮想通貨の取引所についてです。

今年10月、仮想通貨の取引所であるリップルトレードジャパンの代表が逮捕されました。
報道によれば、逮捕容疑は、リップルの取引に関し、現金約150万円をだましとったとされています(※1)。

このような事件は過去も発生しており、取引所における利用者の保護や、利用者と取引所との仮想通貨や法定通貨の分別管理の必要が言われてきました。

今年5月に施行された改正資金決済法(以下、「法」といいます。)では、仮想通貨取引所を、仮想通貨交換業者と定義し(法条)、これを登録制とし、規制することとなりました。

この規制の内容として、上記の分別管理も含まれているほか(法63条の11第1項)、分別管理に対する外部監査の義務規定が置かれており(法63条の11)、登録業者は、従前の登録制度がない時期と比べ、厳格な財産管理が求められることとなりました。

今年4月1日の施行より、9月30日までは、登録のない業者でも、みなし仮想通貨交換業者として営業を行うことが可能でしたが(※2)、10月1日までに申請を行わなかった業者は、その地位を失い、営業を続けることができなくなり、国内に40社あった業者のうち、12社が廃業、11社が登録、17社が継続審査となりました。今月、さらに4社が登録されたとのことです。

登録した業者は、「みなし」が取れ、仮想通貨交換業者として現に業務を行っていますが、継続審査中の17社も、今後、登録し、または登録が拒否されるまでは、みなし仮想通貨交換業者として業務を継続できます(※3)。

上述のとおり、仮想通貨交換業者は登録審査をパスした業者ですし、現時点でのみなし仮想通貨交換業者は、現に金融庁の継続審査を受けている者ですから、いずれも、上述の分別管理を全うすべき義務を負い、またその整備を行っているはずです。
その意味では、現時点で残っている仮想通貨交換業者やみなし仮想通貨交換業者は、改正資金決済法施行前の業者と比べ、利用者の財産保護に対する信頼性は高いといえるでしょう。

もっとも、今後、登録を受けない、もぐりの仮想通貨交換業者が発生しないとは限りません。

そのような場合、金融庁の仮想通貨交換業者登録一覧のページが、登録業者かどうかの確認のために有用です(※4)

現在のみなし仮想通貨交換業者は、金融庁が公表していないため、政府サイトで確認するのは難しいのですが、登録中の業者の一覧を掲載しているサイトもあり(※5)、こちらを頼りに、業者のウェブサイトを確認していただくと良いかもしれません。

なお、みなし仮想通貨交換業者は、あくまで、改正資金決済法の施行に伴う過渡的な制度で、同法施行日に、既に仮想通貨交換業を行っているものだけが対象となるため、4月2日以降、仮想通貨交換業に新規参入した業者で、先程の金融庁の登録を受けていない業者は、全てもぐりの業者ということになります。

仮想通貨は、値の動きが激しく、FXや先物取引を取り扱っている業者もあることから、ハイリスクハイリターンの取引であり、勢い、ハイリターンに魅力を感じ、仮想通貨取引を行う方も今後増えていくと予想されます。

また、登録業者、みなし業者は、取扱仮想通貨を金融庁に届け出る必要があり(法63条の3第1項7号)、その際、当該仮想通貨の説明も求められるため(金融庁「事務ガイドライン第三分冊:金融会社関係16」4頁)、世に出て日の浅い仮想通貨や、取引量の少ない仮想通貨などは、取扱いが回避される可能性があります。

そこで、仮想通貨取引をあまり知らない方や、ハイリターンを狙って、取扱いの少ない仮想通貨の取引を希望する方が、もぐりの業者に取引を勧められ、だまされるという可能性が今後考えられます(※6)。

上述のとおり、登録を受けていない業者は、分別管理に関する厳格な規制を一切受けておらず、また、そもそも違法な営業を行っている業者ですから、そのような業者を利用すること自体が、大切なお金を捨てているようなものです。

ついては、取引をする際には、仮想通貨交換業者あるいはみなし仮想通貨交換業者であるかどうかの確認は、十分に注意して行っていただければと存じます。
※1 http://www.sankei.com/affairs/news/171018/afr1710180008-n1.html
※2 法附則8条第1文「この法律の施行の際現に仮想通貨交換業…を行っている者は、施行日から起算して六月間…は、新資金決済法第六十三条の二の規定にかかわらず、当該仮想通貨交換業を行うことができる。」
※3 法附則8条第2文「その者がその期間内に同条の登録の申請をした場合において、その期間を経過したときは、その申請について登録又は登録の拒否の処分があるまでの間も、同様とする。」
※4 http://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kasoutuka.pdf
※5 https://bitpress.jp/news/information/entry-6488.html
※6 例えば、貸金業は登録制で、無登録営業には罰則もありますが、現にやみ金業者がなくならないように、登録制度により、もぐり業者を完全になくすことができるとは限りません。