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弁護士法人 ALAW&GOODLOOP | 福岡・北九州・長崎の企業法務、法律顧問契約、法律相談

コラム

商標出願のススメ

投稿日

2023.01.27

投稿者

畑田将大

カテゴリー

知的財産・営業秘密

私は弁護士として活動しつつ、令和4年8月に知的財産の専門家と言われる弁理士にも登録させていただきました。

それに伴い、知的財産権、とりわけ商標に関するご相談を受けることが増えてきましたので、今回は商標についてお話させていただきます。

 

1 商標とは

⑴ 商標の種類

商標法で保護されうる「商標」とは、「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」(商標法第2条1項柱書)とされている標章であって、商品やサービスにおいて使用するものをいいます。

我々が日頃から目にしている「SONY」(登録番号620105)などの「文字商標」や、書籍販売やレンタルビデオなどの事業を展開している蔦屋のロゴ(登録番号4734266)のような「図形商標」が商標としての典型例かと思います。

また、上述した商標の定義からもおわかりのように、商標には「音」や「色彩」といったものも商標として登録可能です。

音商標で有名なものは、胃腸薬「正露丸」のCMに用いられるラッパのメロディ(登録番号5985746)が有名です。

色彩商標では、「MONO消しゴム」の青白黒の三色柄(登録番号590334)などが代表的でしょうか。

これらの商標を登録しておくと、商標権者は後述するような権利を得ることとなります。

⑵ 登録の際の区分

もっとも、商標は文字やロゴだけを登録するのではなく、「区分」といった特定の商品やサービスを指定することとなります。

これは「商標をどのような商品・サービスに使うのか」という登録です。

例えば、クッキーに特別な名前を付けていた場合。その名前をクッキーの名称で利用しますよ~と商標登録しました。この「クッキーで使用するよ」というものが「区分を指定」するといいます。

原則として、商標権者は、この指定した区分の範囲内で商標権の主張をすることとなります。

 

2 商標権の効果

⑴ 指定商品又は指定役務について登録商標の使用権専有

商標登録の際に指定した商品や役務について、登録商標の使用する権利を専有します(商標法第25条)。ざっくりいうと、第三者は、商標権者に登録された商標を無断で使用することができなくなります。

例外的に「先使用権」といって、商標登録前の使用については排除できない場合もございますが、単に使用していた事実だけでは足りず、一定程度知名度が必要なため、やはり原則としては商標権者が使用権を専有することとなります。

⑵ 類似範囲の使用排除

上述のとおり、商標権者は、「原則として」指定した区分の範囲内でしか商標権の主張をすることができません。

もっとも、「例外的に」指定していない区分の範囲でも商標権を主張できる場合もございます。それが、「類似」の場合です(商標法第37条)。

これは、商標及び指定区分が同一でなくとも、それらが「類似」している場合は商標権を主張できるというものです。

類似するかどうかは、外観(見た目)・称呼(呼び名)・観念(意味)・取引の実情等を総合的に検討し判断されます(最高裁昭和43年2月27日判決)。

⑶ 使用の差し止め・損害賠償請求

上述のように、商標権者は、指定商品や役務について、同一又は類似の登録商標を独占的に使用することができますが、無断で第三者が登録商標をしていた場合、その使用の差し止めや損害賠償を請求することができます。

 

3 商標登録のすすめ

上述したように、商標を登録すると、第三者は登録されている商標を無断で使用することができなくなります。

もっとも、この効果は商標を「登録」しなければ発生しません。

商標を「登録」していない場合、他人が勝手に商標を使用していても、多くの場面でその使用を止めることができなくなります。

もちろん、不正競争防止法といった法律で商標として登録されておらずとも、使用を差し止めることができる場合もございますが、立証の難易度や主張できる範囲を考慮すると、商標を登録しておくことが無難です。

弊所では商標出願についてもご対応可能ですので、商標出願の際は是非ご相談ください。