昨年改正された建設業法に関し、令和2年10月1日の一部施行に伴い、同年5月15日に、建設業法施行令の一部を改正する政令が閣議決定されました。そこで、建設業法改正部分と施行令についてご紹介します。
まず、働き方改革に基づく改正部分は、①工事を施工しない日及び時間帯の明記(改正後19条1項4号)、②著しく短い工期の禁止(建設業法19条の5・新設)となります。
1 ①工事を施工しない日及び時間帯の明記について(改正後19条1項4号)
長時間労働抑制の観点から、工事を施工しない日及び時間帯を定める場合には、その旨を請負契約書へ記載することとなりました。
工事を施工しない日としては、毎週の作業を行わない日や祝日の取扱い、夏期の休暇期間があればその期間、年末年始の取扱といった内容が挙げられます。
2 ②著しく短い工期の禁止(改正後19条の5)
注文者は、注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならないとされました。
著しく短いか否かは、上記①の自然的要因(梅雨時期の降雨時の作業中止等、強風等)や休日(週休、祝日、年末年始、夏期休暇等)に加え、過去の同種類似工事の実績との比較や、労働者・建設資材の投入量・採用している工法、準備期間(建築確認、工事場所の周辺環境、近隣の規制等)等を考慮して判断するとされています。
そして、この禁止規定の対象は、令和2年5月15日に閣議決定された建設業法施行令の一部を改正する政令により、建築一式工事は1500万円以上、その他の建設工事は500万円以上とされました(建設業法施行令第5条の8)。
これに違反した場合、必要があると認められるときは、建設業の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、発注者に対して必要な勧告をすることができ、発注者が是正勧告に従わないことを公表することができるということになっています(改正後19条の6第2項)。
これまで、請負契約においては、注文者の希望に沿うような形で短い工期が定められ、その工期に間に合わせるために長時間労働が強いられるケースもありました。
今回の改正によって、そのような事態を改めることが求められますので、自社の工期を確認されてみて下さい