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コラム

民法改正(成人年齢の引き下げについて)

投稿日

2022.04.22

投稿者

山口和則

カテゴリー

その他の民事・家事事件

明治以来,民法では成人年齢は20歳とされていましたが,成人年齢を18歳とする改正民法が今年(2022年)4月1日に施行されました。今回は,成人年齢が18歳に引き下げられることによりどのような影響が生じるのかをまとめてみたいと思います。

 

1 18歳から単独で契約ができるようになる

民法では,未成年者が法律行為(契約等)をするには,法定代理人(通常は親)の同意を得なければならないとされています(民法5条1項本文)。もし,未成年者が法定代理人の同意を得ずに契約等の法律行為をした場合は,その法律行為は取り消すことができます(同条2項)。

例えば,未成年の子供が親に黙って勝手に自動車を購入する契約をした場合,その自動車を購入する契約は取り消すことができます。

民法改正前は,20歳未満の子供が親の同意を得ずに法律行為を行った場合は取り消すことができるとされていましたが,今回の改正により,18歳になれば親の同意がなくても単独で契約ができるようになりました。

2 ローンを組んだりクレジットカードを作れるようになる

クレジットカードを作ったり,ローンを組んだりすることも契約であり,今回の民法改正により18歳になれば親の同意なしでクレジットカードを作ったり,ローンを組んだりすることができるようになります。

ローンを組むといっても,18歳とか19歳とかで家を買うわけではないし・・・などと考えるかもしれません。しかし,何もローンを組むのは家を買う場合だけに限りません。自動車を購入する場合にもローンを組むでしょうし,スマートフォンの機種変更をした際に,本体の料金を毎月の利用料金と一緒に払っていくのも立派なローンです。このような自動車の購入やスマートフォン等の機種変更も,18歳から親の同意なしでできるようになります。

クレジットカードについては,2022年3月31日時点で,クレジットカード業者のうち39.9%が18~19歳の学生との契約を認める,37.9%が条件付きで学生との契約を認めると回答しているようです。この条件については,高校生は契約不可,高校生の場合は自動車教習所からの紹介のみ対応している,などの条件を付し,20歳未満の人が安易にクレジットカードを利用しすぎないよう一定の配慮をしているようです(出典 一般社団法人 日本クレジット協会 成年年齢引下げに伴う未成年者及び若年成人との契約等の実態把握のための調査結果 (j-credit.or.jp))。

3 婚姻年齢について

⑴ 婚姻年齢の統一

改正前は,男女で婚姻できる年齢が異なり,男性は18歳,女性は16歳になれば婚姻できるとされていました。この理由については,女性のほうが成熟が早くて早婚だからと説明されていましたが,合理的ではなく,男女平等の観点から問題があると批判されていました。

そのため,今回の民法改正により,婚姻できる年齢は男女ともに18歳に統一されました。

⑵ 成年擬制について

改正前は,男性は18歳,女性は16歳になれば婚姻できるとされていましたが,成人年齢は20歳でした。つまり,未成年者が婚姻するという事態が生じることがありました。

しかし,婚姻して独立の生計を立てていながら,家を借りたりする際にいちいち親の同意を得なければならないというのは煩雑です。

そのため,改正前は,婚姻することにより未成年者も成年に達したものとみなされていました(改正前民法753条)。

ところが,今回の改正により,婚姻できる年齢と成人年齢がいずれも18歳に統一され,未成年者が婚姻するという事態は生じないことになりました。

そのため,今回の改正により,民法753条は削除されることになりました。

4 18歳から裁判員に選ばれる可能性がある

民法改正とは直接関係ないものの,今後は18歳になれば裁判員に選ばれる可能性があります。

⑴ 裁判員の選任方法

裁判員は,毎年作成される「裁判員候補者名簿」に記載された人の中から選任されます。この裁判員候補者名簿は,市町村の選挙管理委員会が,選挙人名簿に記載されている者の中からくじで選定して作成します。

選挙権の年齢は2016年に18歳に引き下げられたことから,本来であれば2016年から18歳になれば裁判員に選任されるはずでしたが,裁判員に選任される年齢については引き続き20歳以上とされていました。

しかし,改正民法が施行され,成人年齢が18歳に引き下げられたことから,これに合わせて18歳から裁判員に選任されることになりました。

⑵ いつから18歳の人も裁判員に選任されるのか

今年(2022年)の裁判員候補者名簿は既に作成されているため,18歳の人が裁判員に選ばれる可能性があるのは,来年(2023年)からということになります。今年(2022年)の秋に来年の裁判員候補者名簿が作成され,名簿に載ると今年の11月頃に裁判所から通知が届きます。

5 お酒やタバコは18歳からOK?

18歳から大人として扱われるということは,お酒やタバコも18歳からOKと思うかもしれませんが,お酒やタバコについては,これまでどおり20歳になるまでは禁止されます。

また,公営ギャンブルも20歳になるまで禁止されます。

以上