弁護士の柏﨑です。
120年ぶりに民法が改正され、消滅時効に関する民法の規定についても大幅に変更されることになりました。「消滅時効」とは、一定の期間、その権利を行使しないと、その権利が消滅してしまい、請求をすることができなくなるという制度です。
現行法では、原則として、消滅時効は権利を行使することができる時から「10年」と定められています。例外として、工事などの請負代金が3年、飲食店の飲食代金が1年、商取引によって生じた債権は5年など、取引内容によって異なっていました。
この規定に関しては、原則10年という期間は長いのではないか、取引内容によって消滅時効の期間が異なる場合があることに合理性はあるのか、といった疑問が提起されていました。
このような意見があり、今回の改正で「債権の消滅時効期間は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、または権利を行使することができる時から10年間行使しないときのいずれか早く到達するときに時効によって消滅する」と変更されました。
短期消滅時効、商法522条に定められていた商事消滅時効が廃止されることとなり、消滅時効制度の時効期間と起算点の原則的な考え方が統一されることになりました。
以上のとおり、消滅時効の制度について大きな変更がありましたが、法律の施行日より前に生じた債権については、現行の民法の適用がなされることになります。
したがって、改正民法が施行された日以降に発生した債権について適用がなされることになりますので、適用関係については注意が必要です。
債権は気付いたときには消滅時効がきていたとか、消滅時効直前だったといったことがよくあります。回収について不安に思われた際には、そのまま放置にはせず、弁護士にご相談下さい。