弁護士の後藤です。つい先日のことですが、3月28日付の報道で、法務大臣が「法定相続情報証明制度」を今年5月下旬から実施する旨の発言を行ったことが明らかになり、相続手続きが簡素化されるというトピックで話題に上ることがありました。そこで今回は、「法定相続情報証明制度」について簡単にお話をしたいと思います。
例えば、ある人について相続が発生した場合、遺された相続人は、亡くなった方(「被相続人」といいます。)名義の不動産について相続登記を行い、あるいは被相続人名義の預金について払戻手続きを行うことになります。そして、相続人がこれらの手続きを行う際に、法務局や金融機関といった関係各所の窓口に、”被相続人の出生から死亡までの戸籍の一式”を揃えて持参する必要があります。これは、法定相続人の範囲を確認するために、関係各所から必ず求められるものです。
もっとも、”被相続人の出生から死亡までの戸籍の一式”と言われても、そもそもどのように取得していいか分からないでしょうし、仮に戸籍の一式を揃えたとしても、関係各所にいちいち持参するのは手間だという声もあります。特に、被相続人が亡くなられた後に長期間が経過しているようなケースでは、相続関係も複雑化し、その結果、戸籍の一式が相当な分量になることもあります。
そこで、新設される「法定相続情報証明制度」の下では、相続人がひとたび”被相続人の出生から死亡までの戸籍の一式”を揃え、これらをもとに「法定相続情報一覧図」を作成し、登記所に提出すれば、登記官がその内容を確認した上で、「法定相続情報一覧図」の写しを作成・認証して、必要枚数を交付するということが可能になります。交付を受けた相続人は、登記所から認証を受けた「法定相続情報一覧図」の写しを関係各所に持って行けば、戸籍の一式がなくとも各種の手続きを進められるといった具合に、手続きが簡略化されるというわけです。
とはいえ、相続人が最初に戸籍の一式を揃えなければならない点は、従来までと変わりません。その意味では、一番労力が掛かる部分について省力化されるような画期的な制度、というわけでもないようです。
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