弁護士の佐渡です。
私は相続案件を多く扱っており、「借金が多いので相続放棄したい」というご相談をいただくことがあります。
その際、多くの方が疑問に感じているのが、「相続人が全員相続放棄すれば、遺産の不動産はどうなるのだろう?」ということです。
相続放棄は、相続人が被相続人(亡くなった方)の権利や義務を一切引き継がないとする意思表示のことをいい、裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。
裁判所に認められれば、最初から相続人でなかったことになり、被相続人の財産の一切を引き継ぐことはありません。
しかし、遺産の管理責任が残ってしまう場合があるのです。
2023年4月に改正された民法940条第1項では、「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」とされています。
つまり、仮に遺産の不動産に現在住んでいるというような場合には、相続放棄したとしてもその不動産を適切に管理する責任が発生してしまうのです。
また、相続放棄については相続開始を知ってから3か月以内に行わなければならないという期限があります。
相続放棄したほうがよいのか、相続放棄した際の問題点などにお悩みの方は、一度弁護士に相談することをお勧めします。