この頃、「世間」にはやる物、社会保険料未納問題
呉座勇一氏著「応仁の乱」がベストセラー。北九州市図書館で借りようとしたら、109件の待ち。
ところで、この「応仁の乱」の時代に勝るとも劣らず、混乱した時代、それは南北朝時代。この時代に日本落書きの歴史なんてものがあるかわからないが、その中で最高傑作と言えば、「此頃都ニハヤル物 夜討 強盗 謀(にせ)綸旨・・・」で始まる「二条河原の落書」が有名。
この「二条河原の落書」をもじって、
「此の頃、世間にはやる物 相続対策の賃貸アパート建設バブル 社会保険料未納倒産・・・・」
社会保険料については、企業と従業員は半分ずつの負担だが、社会保険料事務所に対しては、企業に全額納付義務あり。法律上納付義務があるから納めて、当然といえば当然。
さはさりながら、銀行融資ならば延滞すれば、行員さんから電話での催促。社会保険料の方は多少未納が続いても、特にお役所から電話が来ることもない。
そうすると、ついつい未納金額が溜まってしまうことは世間では往々にしてあるように聞いている。
ところが、社会保険料未納は税金の滞納と同じく、企業経営者にとっては、とてつもなく恐ろしいものだということ知っておいて欲しい。
社会保険料未納については、健康保険法183条に「保険料等は、この法律に別段の規定があるものを除き、国税徴収の例により徴収する」と規定されていて税金と同じ。
銀行からの借金等の会社の一般債務については、株式会社、有限会社及び合同会社の経営者は会社負債につき連帯保証でもしていない限りは、株式会社等が破産しても、その経営者が個人責任を負わせられることはない。
これに対して、国税、地方税などの国・地方の税金や社会保険料未納分については、会社が破産した場合、税法上の一定の要件があれば、企業の経営者に第2次納税義務が課せられることがあることに要注意。
第二次納税義務を課せられる場合はいろいろあるが、例えば、合名会社の場合社員は全て無限責任、合資会社社員のうち無限責任社員、会社解散して清算人となった代表者、事業を営んでいた納税者が、税金や社会保険料を滞納したまま、親族等に事業譲渡した場合の譲渡を受けた者、所得税法157条や法人税法132条の「同族会社等の行為又は計算の否認等」の規定で利益を受けた者など、税法上一定の要件のある者があればその者は第二次納税義務を課せられる。
会社財産に滞納処分を執行しても全額回収できない場合、納税者である会社と一定の関係がある者に第二次納税義務が課せられる。
これらの者がたとえ、個人破産しても、免責の対象とならず、生きている限り、税金や社会保険料の第二次納税義務からは逃げられない。
おまけに税金や未納社会保険料を滞納したときの延滞税率が高いので、ほっとくと莫大な金額に膨れ上がることも恐怖である。
これら経営者等にはお子さんたちに相続放棄を勧めるようにアドバイスしたい。
とにかく困ったときは、弁護士に相談して下さい。 以 上