これまで、銀行が中小企業に融資をする際、代表取締役などの経営者が個人保証(以下「経営者保証」といいます。)をすることが一般的でした。このような経営者保証は、信用補完として中小企業の資金調達を円滑にする反面、思い切った事業展開や、早期の事業再生を阻害するなど、弊害も指摘されていました。
このような弊害を克服するため、平成25年8月に、日本商工会議所、全国銀行協会を事務局として経営者保証に関するガイドライン研究会が組織され、法務・会計の専門家、学識経験者、中小企業庁・金融庁等の関係省庁等が参画して、ガイドラインが作成されました。ガイドラインは、平成26年2月1日から適用されています。
ガイドラインには法的拘束力はないものの、自主的自律的なルールとして関係者が誠実に協力することが期待されており、対象債権者(主に金融機関)に対しては、経営者保証に依存しない融資の一層の促進・経営者保証の契約時の対応・既存の保証契約の適切な見直しについて、主たる債務者及び保証人に対しては、法人と経営者との関係の明確な区分分離・財務基盤の強化・適時適切な情報開示等による経営の透明性確保がそれぞれ求められています。
そのため、対象債権者に対して、経営者保証の解除を要請するときは、経営者と法人の資産の分離や、事業上の必要がない法人から経営者への貸付が行われていないなど、経営者と法人の一体性が解消されていることが重要となります。また、法人の業績が良好であることや、年1回の貸借対照表・損益計算書だけではなく、試算表や資金繰り表等の定期的な提出も必要となります。
融資の際に経営者保証を求められたとき、既存の経営者保証を見直したいとき、法人が窮境に陥り経営者保証に基づく責任を追及されそうなときは、ガイドラインの内容を検討してみるのはいかがでしょうか。
経営者保証に関するガイドラインについて
投稿日
2017.02.01
カテゴリー
その他企業法務全般
キーワード