私が回答している弁護士ドットコムの法律相談で、最近相談が増えてきたと感じるのが、この違法ダウンロードの処罰についてです。関心が高いのかもしれないと思いましたので、今回はこのコラムの話題にしてみたいと思います。
令和2年6月5日に著作権法が改正され、令和3年1月1日から、それまで音楽と映像のみのダウンロードが違法とされていたのが、漫画などのダウンロードも違法となりました。
これは、いわゆる海賊版サイトといわれる、漫画をアップロードしていたサイトの摘発がきっかけです。
この改正によって、「違法にアップロードされた著作物を違法であると知りながら継続的または反復してダウンロードする行為」が規制の対象となります(著作権法119条3項)。罰則は「二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」とされています。なお、この違法ダウンロードは親告罪とされており、著作権者の告訴がなければ処罰されません(同法123条1項)。
よくある相談の内容としては、違法ダウンロードをしてしまったが、警察が来るのではないか、捕まるのではないか、というものです。
これについては、コラムを公開している時点で、違法ダウンロードの対象拡大から1年以上が経ちますが、現時点で検挙者が出たという報道がなされていないことからすると、今のところ、警察がきたり捕まったりする可能性は高くない、というのが回答です。
これは、著作権者の告訴がないとか、ダウンロード者の特定やダウンロード行為の証明の難しさなどが理由として挙げられます。
ただ、これは捕まりにくいというだけであって、違法ダウンロードが罪に問われないといっているわけではありません。違法な行為であることは間違いありませんので、やらないに越したことはありません。
もし違法にダウンロードしてしまったのなら、データを削除し、同じことを繰り返さないようにすることが一番の防衛策です。
なお、より厳しく処罰される行為として、違法アップロード・ファイル共有行為があり、こちらは「十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」となりますし(著作権法119条1項)、検挙者も出ています。
ダウンロードと付随してよく相談に上がるものとして、児童ポルノ画像のダウンロードや所持の問題もありますが、こちらは次回以降のコラムで言及したいと思います。
いずれにせよ、問題がありそうなサイトなどへのアクセスはできるだけ控えた方がいいのは間違いありません。
これは著作権法違反だけに留まりませんが、心配事が生じる前に、心配事が生じそうなことはしない、という心構えが重要です。
どうしても心配なことがあれば、当事務所では法令違反の有無や対応策などについての相談にも応じることができますので、当事務所へご相談いただければと思います。