記事一覧
23.12.21
今回は,特別寄与料と遺留分侵害額請求権について述べた,近時の最高裁決定(令和5年10月26日)をご紹介します。
まず,制度の概要について。
①「特別寄与料」は,平成30年の民法改正により,新たに設けられた比較的新しい仕組みです。たとえば,被相続人の子Aの配偶者Bが,被相続人の療養看護に特 ...
22.12.23
不貞をした配偶者あるいは不貞相手に対し,慰謝料を請求する場合に,どのくらい時間が経つと請求できなくなるのか,判例に照らして整理してみたいと思います。
1 不貞慰謝料と離婚慰謝料
最高裁平成31年2月19日判決は,妻が第三者と不貞をしたことに夫が気づいてから時効期間である3年を経過 ...
22.08.19
法務大臣の諮問機関である法制審議会が、離婚後の「共同親権」を導入する案を盛り込んだ中間試案を取りまとめるとの報道がなされています。
話題性のある「共同親権」以外にも、法制審では家族法制について幅広い議論がなされており、その1つに財産分与に関する規律の見直しがあります。
財 ...
22.04.08
労働者が亡くなったときに,遺族に死亡退職金が支給されることがあります。この死亡退職金の受給権者は,社内規程や法律・規約に定めがあり,一般の相続とは区別されることが多いです。たとえば,亡くなった方に妻と子がいた場合,相続財産であれば,妻と子の法定相続分は1対1ですが,死亡退職金の受領権者を「配偶者」と ...
21.12.03
お墓や位牌などは,相続財産とは区別して祭祀財産と呼ばれます(遺骨も同じ扱いとなります。)。親族のなかで誰が引き継ぐかについても,相続とは別に考えられます。法律では,祭祀財産を継ぐ人のことを,祭祀承継者と言います。
では,祭祀承継者はどうやって決まるのでしょうか。民法では,まず,①亡くなった人が ...
21.07.30
《事例1》「長年没交渉だった親戚が亡くなり,自分が相続人であることを知った。ところが,その親戚は多額の負債を抱え,見るべき資産はなかった。」
こうした事例を想定します。このままでは,相続により負債を負うことになるので,まず,検討すべきが相続放棄です。注意が必要なのは,相続放棄には期限が ...
21.03.05
最近,いくつかの自治体や企業・団体からご依頼を受け,人権研修の講師を務めました。研修のなかで私が触れることにしているのが,ハンセン病国家賠償請求に関する2つの裁判例です(熊本地裁平成13年5月11日判決,熊本地裁令和元年6月28日判決)。いずれの裁判例も様々な論点を含むのですが,私が着目するのは, ...
20.11.13
1 駆け出しのころ,「遺産分割事件」という言葉を使って依頼者から叱られたことがあります。曰く,「事件」というと何か犯罪でも起きたみたいではないかとのこと。弁護士など法律家は刑事だけでなく民事の案件も広く「事件」と呼ぶのですが,一般的な感覚からすると違和感があるのだと改めて気付かされました。
法 ...
20.07.10
1 国家賠償法と聞くと国を相手に大規模な訴訟をするというイメージがあるかもしれませんが,実は私たちの身近なところに関係する法律でもあります。今回は,この国家賠償法が適用される一場面を取り上げてみたいと思います。
2 当事務所のある長崎は,坂の多い街です。坂道と周囲の土地に段差がある場所も多くあ ...
20.03.18
新しく相談いただいたり,依頼いただくにあたって,弁護士がまず確認しなければならないことがあります。それは「利益相反」の有無です。たとえば,Aという案件でSさんが弁護士に相談に行きましたが,弁護士はすでにその案件について相手方Tさんから相談を受けていたという場合。あるいは,相手方Tさんが別の案件Bです ...
19.11.08
1 パワーハラスメント(以下、「パワハラ」といいます。)については、日髙太一弁護士が9月28日付けのコラムですでに述べたとおり、今般、法制化がなされ、企業としてはパワハラを防止する努力がこれまで以上に求められることになります。
パワハラを許さない企業の風土・文化を作るうえで、従業員一人ひとりの意識 ...
19.05.04
子どものいる夫婦が離婚をする場合,親権のほかに面会交流をどうするか取り決めることになります。面会交流とは,子どもを監護していない親(非監護親)が子どもと会うことです。子どもにとっては,離婚や別居をしていても,親であることに変わりはなく,多くの場合,面会交流は子どもが親の愛情を直接に肌で感じることので ...